抄録
アトピー性皮膚炎における低出力レーザーの星状神経節近傍照射治療の効果を患者の自己評価により検討した. アトピー性皮膚炎患者(重症度は中等症以上)の内, 低出力レーザーの星状神経節近傍照射治療を希望する患者16名を治療対象とした. 用いた機種はメディレーザソフト®(波長830nm, 出力150mW および 1000mW) である. 従来アトピー性皮膚炎に対して行なっていた治療はそのまま継続とし, 新たにレーザー治療を追加した. 星状神経節近傍照射は1回につき片側5分, 両側で計10分, 治療頻度は週に1回~2週に1回とした. 治療効果はアンケート方式による患者の自己申告評価法にて行なった. その結果は, 治療回数平均32.5回, 平均治療期間12.2 ヵ月において痒みの点数は10→4.4点, 皮疹の面積 100→50.6%, 皮疹の重症度10→4.4点と減少した. 治療の満足度は満足以上が50.0%, ほほ満足以上では87.5%で, 満足指数(100点満点)は75.0点であった. なおレーザー治療による副作用は認められなかった. 以上の結果より重症度が中等症以上のアトピー性皮膚炎に対しては低出力レーザーの星状神経節近傍照射は治療効果のある補助療法である可能性が示唆された.