昭和医学会雑誌
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原著
徐放化basic Fibroblast Growth Factor(bFGF)によるラット大腿動脈・血管吻合部の治癒効果
―bFGF/VEGF免疫染色による吻合部早期修復の検討―
橋川 正利横山 才也門田 聡保阪 善昭
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2010 年 70 巻 2 号 p. 158-163

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抄録
遺伝子組み換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(以下bFGFとする)を含有する創傷治療薬は,わが国では多くの施設で使用されている.一方,bFGFは血管内皮細胞と血管平滑筋の遊走・増殖作用を有するが,血管吻合部に及ぼす効果を組織像としてとらえた報告はない.四肢再建,特に指や指掌の再建では,機能回復の点で早期リハビリテーションが必要であり,血管吻合部の早期修復が重要である.そのため,今回われわれはbFGFを含有した徐放化ハイドロゲルを使用し,血管吻合部の修復について調査した.ラットをエーテルで鎮静化したのち,ペントバルビタールナトリウム(30mg/kg)で腹腔内麻酔を行い,大腿動脈を露出し切断後10-0ナイロンで血管吻合を行った.血管吻合のみを行った群(コントロール群)とハイドロゲル(徐放剤)2mgに対しbFGFを50μgと100μgを混入し,吻合部に貼付した2群の計3群について検討した.同薬剤貼付後3日,5日,7日目に同様の麻酔下で吻合部を採取し組織学的検査を行った.血管吻合部における修復の評価として,bFGFとVEGF(血管内皮細胞増殖因子)の2種類の免疫染色を行い,吻合部周囲3か所(0.3×0.3mm)でbFGFとVEGFが発現した線維芽細胞と血管内皮細胞の数をカウントし統計学的解析を行った.徐放化bFGF群は,コントロール群に比べ,bFGF,VEGFの発現が著しく両群ともに有意差を認めた.今回の実験結果により,血管吻合部の早期修復には,徐放化bFGFの使用が有効であると推察された.
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© 2010 昭和大学学士会
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