抄録
当科では,1996年以降両側唇顎口蓋裂において,中央唇組織の温存と外側唇からの上口唇組織の増加を図るため,二回法による口唇形成を行っている.二回法は,われわれが独自に行っている方法で,一期手術で片側口唇の完全閉鎖と他側の不完全閉鎖を行い,二期手術で不完全閉鎖側の完全閉鎖を行うことで口唇閉鎖を完成させる方法である.この方法による歯槽形態の変化について歯型計測表示システムソフトHyoji3D(デジタルプロセス社製)を用いて検討したので報告する.1996年3月~2010年1月までに当科にて治療を行った両側唇顎口蓋裂患者の中で,印象採得を行い得た31症例における上顎石膏模型の歯槽形態の変化について検討した.一期手術で片側の完全閉鎖,および他側の不完全閉鎖を行うことによって,突出した中間顎,左右に偏位した中間顎が整復され,顎裂部の狭小化と良好な上顎歯槽形態に近づけることができた.一期手術時に両側の鼻腔底閉鎖を行うことにより,著しい中間顎の挺出は認められなかった.