症例は56歳男性.上腹部の不快感を認め近医を受診し,腹腔内腫瘤を指摘されたため精査・加療目的に当院を受診した.CT検査では小腸に造影効果を有する壁肥厚像を認めた.更なる検査を行うも確定診断がつかず,診断もかねて,単孔式腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を観察したところ上部空腸に漿膜浸潤を伴う全周性の小腸癌を認めた.また,所属リンパ節は腫大し腸間膜根まで連続し,腹膜播種性病変も認めた.臍部の創を開腹し小腸部分切除を施行した.単孔式腹腔鏡下手術は効果的に腹腔内の観察や切除を行うことが可能であり美容的に優れており,小腸癌に対して有用であったので報告する.