昭和医学会雑誌
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原著
初期肝障害期における血液流動性の変化
安齋 勉石川 慎太郎石川 貴子池谷 洋一酒井 健本田 豊村田 健三郎米山 早苗砂川 正隆佐藤 孝雄久光 正
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2011 年 71 巻 6 号 p. 602-609

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抄録
非アルコール依存性脂肪性肝炎(NASH)は,通常,無症候性の肝疾患である.NASHでは肝細胞の炎症と傷害が繰り返され,その結果肝細胞の脂肪変性,さらには線維化が進行,肝硬変へと進展する.一方,進行性の肝炎あるいは肝癌において血小板機能障害をきたすことが複数報告されているが,NASHのような初期の肝臓障害(Early-Hepatopathy: EH)における血小板機能と血液流動性に関してほとんど検討されていない.そこで,我々は3’-methyl-4-dimethylaminoazobenzene(DAB)を用いてラットに初期の肝障害を発症させ,血液細胞の動態と血小板機能を観察し,血液流動性との関連を検討した.本実験では8週齢,約120gの雄性F344ラットを使用した. 被験ラットにはDABを0.06%の割合で混合した特殊餌を生後8週間目から16週間,自然給餌により摂取させた.対照群ラットには上記と同様に通常餌を摂取させた.実験開始後18 週目にラットを解剖,肝臓の外観観察後,薄切切片を作製,HE染色し,組織学的検討を行うとともに,血中alkaline phosphatase(ALP)濃度を測定することによって肝障害の発生を確認した.また,ラットの剖検時に採取した血液を対象に血液細胞数,血小板凝集能ならびに血液流動性を測定した.DABを16週間摂取させたラット肝臓では組織学的に肝細胞や核の大小不同,細胞質の空洞化を認め,血中ALP濃度も上昇をしていた.さらに被験ラットからヘパリン採血した血液の流動性は対照ラットと比較し有意に低下するとともに,血小板凝集能も亢進していた.本実験の結果から,NASHのような初期肝障害の病態把握には血小板凝集能や血液流動性の測定が有用であることが示唆された.
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© 2011 昭和大学学士会
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