抄録
腫瘍の局在位置が横隔膜直下の領域に局在する肝腫瘍に対しては,腹腔鏡下のアプローチは難易度が高く工夫が必要である.本症例では横隔膜直下に存在する肝腫瘍に対し,術前シミュレーションを駆使し,適切なポート位置を選定して,胸腔鏡下経横隔膜経路にて肝切除を行った.横隔膜を切開後術中超音波にて肝を観察し,腫瘍の位置を同定,マーキング後ラジオ波凝固装置および前凝固後超音波凝固切開装置にて肝を離断し,腫瘍を摘出した.術前シミュレーションにて腫瘍への最適な到達経路を確認し,良好な視野確保を可能にした胸腔鏡下経横隔膜経由肝切除手術1症例を経験したので報告する.