昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
骨の化骨障害に関する衛生学的研究
第II報ベリリウムによる化骨障害について
佐藤 渡
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 21 巻 11 号 p. 740-747

詳細
抄録
体重30gの雄白鼠に2.2%の割合に炭酸ベリリウムを混ぜた合成餌料を3週間与えたが下肢のX線像, クエン酸, Glucosamine灰分および血清中のAlkalin phosphataseは対照群に比べて差がなく, Be-くる病の変化は見られなかった.これは餌料中の燐の含量 (0.47%) がBe (0.38%) に比べて多いので, 腸管内で燐がBeと結びついて吸収されにくいBeHPO4になつてもなお燐が残つていて吸収され, 血清中の燐の濃度を維持し, 化骨を促進するためだと考えられる.
そこで合成餌料中の燐 (0.34%) をBe (0.38%) より僅かに少く与えたところ, 2週間後に下肢のX線像でくる病に変化しつつある像を認めた.また脛骨の灰分は対照群に比べて減少し, 大腿骨のGlucosamine量は対照群に比べて増加し化骨の障害されていることを立証している.この場合の大腿骨のクエン酸は対照群に比べて増加しまた血清中のAlkalin phosphataseは平均値では対照群に比べて差が見られなかつた.併しBe群は対照群に比べて大きな変動の幅を示していた.またこれらBe-くる病ラッテの骨の化学的性状はビタミンDの投与によつて影響されなかった.
要するに餌料中のBeの割合を燐に対して多くすることによつて幼若白鼠にくる病性変化を起すことに成功し, 下肢のX線像および灰分の割合, Glucosamine量の変化からこれを証明することができた.
本稿を終るに当り, 御校閲を賜つた白井伊三郎教授, 常に御懇切なる御指導をして下さつた小池重夫博士, 飼料並にX線写真の撮影の便宜を与えて下さつた農林省食糧研究所の桜井芳人博士, 宮崎基嘉氏, 早川清一氏に厚く謝意を表します.
(尚お本論丈の要旨は, 第15回日本公衆衛生学会総会に於て報告した)
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top