昭和医学会雑誌
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針刺激, 仰臥位, 耳介の強圧及びモルヒネに共通に反応する無麻酔・無拘束家兎の中脳中心部ニューロン活動
鎌田 康夫武重 千冬
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1978 年 38 巻 3 号 p. 305-314

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抄録
無麻酔, 無拘束家兎の中脳中心灰白質, 中脳網様体中心部から微小電極を用いて単一ニューロン活動を記録し, 仰臥位, 耳の強圧などの動物催眠を誘起する方法や針刺激によって反応するニューロンを検索した.これらの操作による反応は自発性放電の頻度の増大か減少であり, 30匹の家兎の89個のニューロンにつき126回の操作を行い, 増大するニューロンは28, 減少は63, 不変は35であった.放電頻度の変化の様相は三種の操作で異なり.針刺激の場合, 刺激開始後潜伏期をおいて変化が始まり, 刺激終了後も変化がしばらくの間持続した.
仰臥位では変化は直ちに始まり, 後効果は僅かにみられた.耳の強圧では徐々に変化が進行し, 後効果もみられた.
三種の操作で反応するニューロンの64%は二つ以上の操作で共通して反応し, かつ反応の方向も同じであった.また静注したモルヒネによっても共通に反応し, その反応の方向も同じであるニューロンが多くみられた.侵害刺激に反応するニューロンは, 仰臥位や耳の強圧時には反応が消失した.
視床ニューロンは仰臥位や耳の強圧で反応するが, その反応の方向は同じであったものはごく少なかった.
得られたニューロン活動の変化から, 針麻酔は中脳中心灰白質が内因性モルヒネ様物質によって駆動され, 下行性抑制が働いて鎮痛が起こり, 動物催眠の鎮痛と, 針麻酔の鎮痛に共通機序が働く可能性を論じた.
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