環境システム研究論文集
Online ISSN : 1884-8125
Print ISSN : 1345-9597
ISSN-L : 1345-9597
太陽光発電システムの経済的成立条件に関する研究
全世帯太陽光発電付き賃貸マンションを事例として
石崎 美代子乙間 末廣松本 亨
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 34 巻 p. 193-198

詳細
抄録

北九州市内にある日本初の全世帯太陽光発電付き賃貸マンション (RC造, 全43戸, 各戸1.5kW規格パネル設置) を対象に, 発電システムのエネルギー収支を把握し, オーナーと居住者の経済性を評価することにより経済的成立条件を探った. 発電量は年平均で4.5kWh/日/戸であり, エネルギーペイバックタイムは約1.95年, 世帯の消費電力量に対するエネルギー消費削減量の割合は約30%となった. 経済的には, オーナーは家賃に上乗せをして投資額を金利込みで回収するが, 現実的な回収期間や金利利率, 補助金額等の設定により, 投資以上の回収ができ, かつ居住者は太陽光発電による電気代の節約と売電により利益を出し得る賃貸料金の範囲が存在することがわかった. つまり, 太陽光発電は, 環境・オーナー・居住者の3者の問でWin-Winの関係を築ける可能性を有しており, RC造賃貸マンションへの設置はその一つのモデルと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top