昭和医学会雑誌
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局所疼痛に対する針作用の実験的研究
I: 皮膚温, 筋肉温, 脈波から検した局所疼痛に対する針灸の作用機序
木下 晴都
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1981 年 41 巻 2 号 p. 147-156

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抄録
局所疼痛に対する針灸の治療効果の作用機序を解明するために, 坐骨神経痛様症状を呈する患者の施針灸前後の疼痛部の皮膚温, 筋肉温を熱電対温度計で測定し, 針灸の効果を解析した.疼痛部は健側のそれと対応する部に比して, 皮膚温, 筋肉温ともに低下しているが, 疼痛を訴える部の筋に針灸を施行すると温度が上昇し健側の値に近づく.反射型で検した疼痛部の容積脈波高は疼痛部筋の針灸施行によって増大し, 皮膚温とともに健側の値に近づく.透光型で検した趾先脈波高は, 下肢の疼痛を訴える位置まで下肢を挙上したときは減少するが, 針灸施行後は下肢を挙上しても脈波高の減少率は低下する.斜角筋に過緊張があり頭部の運動によって指先の血流が停止する患者の当該筋に施針すると, 筋弛緩剤を投与したときと同じように血流停止の緩和がみられた.
上記の結果から局所疼痛に対する針灸の効果は, 疼痛原因となっている緊張が増大している筋の低下している血行動態を改善することであると推定された.
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