近年リニア電子スキャナーの発達普及に伴い, 肝胆膵疾患における腹部超音波検査法には大きな関心がよせられている.今回慢性膵炎, 膵癌, 肝腫瘍について超音波検査法と他検査法とを比較検討し, その有用性が認められた.慢性膵炎の超音波検査所見にはまだ不十分な点もあり, 偽陰性及び偽陽性例がみられた.膵癌3例は超音波検査にて診断可能であったが, すべて切除不能例であった.しかし諸家により切除可能膵癌をスクリーニングしえたとの報告もあり, 今後膵癌のスクリーニング検査法として期待される.肝腫瘍についてエコーパターンの分類を試み, 原発性肝癌と転移性肝癌との間にそれぞれの特徴が示唆されたが, 鑑別は困難なことが多い.腹部超音波検査法はその簡便さ, 非侵襲性より, 今後さらに発展進歩が期待される.