昭和医学会雑誌
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急性心筋梗塞と合併症, 心臓破裂について
篠原 文雄梶山 浩滝本 雅文小島 喜久子井上 紳飛田 明吉田 文英
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1981 年 41 巻 5 号 p. 501-510

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抄録

心筋梗塞 (梗塞) に伴う心室自由壁破裂 (破裂) について臨床病理学的に検討した.対象は22例 (男13, 平均69.1歳, 女9, 平均70.1歳) で, 男の破裂は男の梗塞死の22.4%, 女のそれは34.6%に発生した.梗塞発症から破裂までの期間は全例8日以内で, 10例が最初の24時間以内に破裂した.16例に高血圧の既往歴があり, 梗塞後安静の欠如15例, 梗塞後高血圧の持続8例, うち7例は最初の24時間以内に破裂した.ショックや重症心不全での破裂は4例であった.11例の急変時心電図変化は洞徐脈4例, 結節調律3例, 心室調律1例, 上室性期外収縮1例, 心室性頻拍1例, We-nckebach型1例であった.平均心重量は4169, 再梗塞での破裂は4例, 破裂部位は前壁12例, 側壁7例, 後壁1例, 不明1例であった.54例の非破裂群との間に年齢, 性別, 心重量に有意差がなかったが, 破裂群では初発作, 1枝狭窄, 血栓並びに梗塞部と正常心室壁厚の比が0.5以下の頻度が有意に高かった.

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