昭和医学会雑誌
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糖尿病患者におけるGlycosylated Hemoglobin (HbA1) の臨床的意義
児島 孝典小柳 博司松岡 功樹沖 卓史長谷川 真栗屋 保男木村 肇井上 健伴 良雄
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1981 年 41 巻 5 号 p. 511-518

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抄録

糖尿病患者においてHbA1を測定し, 血糖値, 発症年齢, 罹病期間, 肥満度, 合併症の有無, 治療方法などとの関係を検討した.対象は糖尿病患者112名 (22~79歳) で, HbA1値の測定はイオン交換クロマトグラフ法で行った (正常値: 8%以下) .結果: 1) HbA1値は血糖値の短時間の変化には影響されなかった.2) HbA1値は同時採血時のFBGおよび1~6カ月前のFBGとの間にそれぞれ有意な正の相関関係を示し, また, 過去3カ月間の平均FBG値と極めて良好な相関関係を示した.3) HbA1値は発症年齢が29歳以下の群, また, 罹病期間が長期の群ほど高値を示す傾向がみられたが, 肥満度には無関係であった.4) HbA1値は合併症 (網膜症のみ, 蛋白尿と神経症, 蛋白尿, 網膜症と神経症) を有する群で高値であった.5) HbA1値は食事療法, 経口剤療法, インシュリン療法群の順に高値であった.以上より, 糖尿病治療の指標としてHbA1は従来のFBG, 尿糖量に加えて長期的な指標として有用であると考えられた.

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