抄録
抗生物質療法の進歩により, 感染症の予防・治療は著しく発展し, 同時に, 種々の副作用も注目されている.今回著者らは, 薬剤性出血性大腸炎の1例を経験した.症例は65歳の男性.下腹部痛と粘血便を主訴として入院.Ampicillin服用の既往と特徴的臨床経過及び大腸内視鏡所見により, Ampicillinによる出血性腸炎と診断した.速やかな服薬中止により症状軽快し, 入院14病日で退院した.本症例は, 便培養にてKlebsiella oxytocaを多数検出し, 本邦では数少ないと思われる全結腸型の病変を示したので, 若干の文献的考察とともに報告する.