昭和医学会雑誌
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心筋梗塞の入院中および退院時の定量的運動負荷試験
丸岡 隆芳藤田 良範長谷川 武志桑原 敏樹内田 宏子新村 与平林 正博内島 弘
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1982 年 42 巻 3 号 p. 383-388

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抄録
急性心筋梗塞 (AMI) 発作後早期の運動耐容量 (PWC) を評価し, その後のリハビリテーション (リハ) を有効に進めるため, 自転車エルゴメーターによる定量的運動負荷試験を行なった.対象は当科CCUに入院し, 負荷漸増により4週間で1日2~3km歩行と階段20段昇降数回を目標としたリハプログラムでリハを行なったAMI48例, 全例男, 平均年齢56.7歳である.運動負荷試験は1回100m~300m歩行時の発作後平均26.4病日 (15~63病日) と, 退院時, 一部は発作6カ月後に間歇的増量法により行なった.PWCは入院中から退院時にかけ短期間で著しく増大し, 最大心拍数, Pressure Rate Products, 最大酸素摂取量, Relative Metabolic Rateも有意に増加し, 心機能の改善を示した.入院中の負荷でPWCの大きい群は若年例, 梗塞範囲の狭い例が多い傾向を示し, 入院中リハ進行を阻害する心不全, 不整脈, リハ進行にあたり行なう負荷心電図異常の出現も少なく, 入院期間も短かくなる.PWCの小さい例でも系統的なプログラムによりリハを進めることによりPWCは増加し, 早期にPWCを知ることは, その後のリハを進める上で重要である.
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