昭和医学会雑誌
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KanamycinのPancuronium筋弛緩効果に及ぼす影響
奥富 信博
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1982 年 42 巻 5 号 p. 651-657

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抄録
雑種成犬を用いてKanamycin20mg/kgをbolusに静脈内投与し, pharmacokinetic analysisを行い, 中心分画および末稍分画における経時的濃度変化を算出した.さらに, Pancuronium bromide 0.02mg/kgを90分間隔で間歇的に静脈内投与したところ, その筋弛緩効果は延長された.また両分画のKanamycin濃度が下降した時期にその延長傾向が強かった.蛙腹直筋を用いたAcetylcholine定量法を用いてKanamycinによりPancuroniumの効果が増強されるのを認めた.さらにKanamycin添加灌流液に浸漬した筋肉を非添加灌流液で洗滌した後も筋肉にはKanamycinが残存するのが認められた.したがって筋肉外の液のKanamycinの濃度が低下しても筋肉の濃度は急激には低下せず, Pancuroniumの効果を増強するとの示唆をえた.
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