抄録
胎児期大脳半球の上側頭面聴覚領域の発育とその左右差を検討するために, 日本人胎児脳23コ, 新生児脳5コの観察ならびに計測を行い, 次のような結果を得た.1.側頭葉上面は6か月から見られるようになり, 7か月で表面に凹凸が現われ, 8か月からHeschl回と側頭平面が区別されるようになるが, 胎児ではV型のみであり, 新生児で初めてVI型が現われ, それらの広さは全体として比較した場合には左側が右側に優る傾向が見られた.これらは欧米人胎児とほぼ同様であった.また, この時期から形成された外側溝後枝後端の方向は, 左側はすべて水平型, 右側は大部分が上行型であった.2.外側窩の開角, 下縁傾斜角および下縁長の計測によって, 側頭葉上面の発達は左側が右側よりも著しい傾向が見られた.3.外側窩の周辺部のfo線に対する距離の比較によって, 前頭葉及び頭頂葉の弁蓋部の月齢発達も左側が右側に優る傾向が見られた.