昭和医学会雑誌
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アストグラフ検査時の動脈酸素分圧の推移について
中神 和清和田 育穂木村 一成田中 一正吉尾 卓金重 博司周東 寛刑部 義美国枝 武文鈴木 一里見 智正猿田 栄助野口 英世
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1983 年 43 巻 5 号 p. 651-655

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抄録
気管支喘息の病因の主体といわれる気道過敏性の検査として, 定在正弦波を用いるOscillation法により連続して呼吸抵抗の測定が可能な, アストグラフが広く用いられるようになってきている.このアストグラフ施行中の酸素分圧を, 気管支喘息33例, 非喘息性呼吸器疾患7例, 正常対照4例の計44例に, 非観血的な方法である経皮酸素分圧測定装置を用い連続的に測定し, その酸素分圧の変動を検討した.アストグラフ上, 反応閾値 (Cmin) を示す時点と酸素分圧の最高値を示す時点は同時に生じていた.気管支拡張剤投与後, 酸素分圧が前値に回復するのは, 呼吸低抗が低下開始する時点, 終了時抵抗を示す時点及び酸素分圧の最低値を示す時点の3点よりはるかに遅延していた.この遅延の程度は, 年齢, 及び, 喘息の型と特に関係は認められなかった.又, ほぼ同時期に行った他の呼吸機能のParameter (%VC, FEV1.0%, V50/V25, Rrs) とも相関関係が認められなかった.酸素分圧の低下率と呼吸抵抗の増加率との間に相関関係は認められなかった.酸素分圧の最低値と前値とは0.5%以下の危険率で有意の正の相関関係が認められた.以上の結果より, 通常より低酸素血症を示す様な症例に対しアストグラフ等呼吸機能検査を施行する時には, 通常考慮される以上に酸素分圧の低下を来たす可能性があり, 十分な注意観察が必要であると思われた.
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