昭和医学会雑誌
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諸種血液疾患における血小板容積の検討ならびに血小板機能との関連
毛利 博
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1983 年 43 巻 5 号 p. 639-649

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抄録
諸種血液疾患123例につき血小板容積を検討し, 血小板機能との関連性をみた.容積は, EDTA-2K加血より多血小板血漿をとり, Isotoneにて3000倍に希釈し, Coulter Counter ZBIとChanalyzerを接続して測定し, mode, mean volume, megathrombocyte index (MI) で表現した.健康成人50例の正常値は, mode 6.71±0.83μ3, meanvolume 9.77±0.95μ3, M.I.21.07±2.87μ3であった.ITPでは, mode, mean volume, M.I.ともに高値で, 骨髄巨核球数は増加し, 大型血小板の増加は, 骨髄巨核球の増加に伴う幼若血小板の産生と関連があると思われた.また, 粒子容積の小さな部位に異常ピークがみられ, この由来はその大部分が血小板破砕物と思われる.容積は治療後血小板数の増加に伴い正常化した.再生不良性貧血では, 容積は低値で, 骨髄巨核球は減少しており, 本疾患における容積の減少は骨髄での血小板産生低下に伴う血小板供給の減少のためと思われる.急性白血病では, 全病型で容積は低値を示し, 特にDICを合併したAPLで著しく, 寛解到達後寛解前に比べ容積は増加した.異常蛋白血症では容積は低値を示し, 治療によりM蛋白量が減少すると凝集能は改善したが, 容積は不変であった.本疾患の機能低下の原因は環境の異常と思われる.悪性貧血でも容積は低値で, ビタミンB12投与により出血時間, 凝集能は正常化したが容積は不変であり, 血小板が大きいほど機能がよいという結論は得られなかった.悪性リンパ腫では容積は正常で, 白血化すると低値を示した.PNHでは, 容積は正常かやや低値であり, 凝集能は低下した.MPDの容積は正常であったが, 凝集能は多くの例で低下を示した.CMLの急性転化例, PVおよびETの血栓症合併例で容積は減少した.以上の諸点から, 種々の血液疾患により血小板容積は異なり, 大型血小板が必ずしも機能がよいという結論は得られず, 血小板機能の異常は, 血小板容積以外に各種疾串に伴う種々の病態に由来する要因が関与して生じるものと思われる.
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