抄録
昭和57年11月1日から昭和58年7月30日まで, 藤が丘病院内科において臨床実習を行った学生に対して, 各グループ毎に筆記試験および症例検討会形式の口述試験を行った.この試験結果について, 側の得点という観点ではなく, 教員側の評価方の妥当性という観点から分析を加えた.藤が丘病院内科の, 循環器・腎臓・呼吸器・消化器・内分泌・血液・神経の7科から, 各5問ずつ国試形式の問題計35問を2週毎に作成し, 第二週6金曜午後1時~2時に試験を実施した.また症例検討会は第二週の午後に各科1時間ずつ実施した.出題総数は595問で, 平均正解率は0.613である.正解率分布をみると, 90%以上の正解を示す問題が29%あり, 平易問題がやや多い傾向を示した.識別係数は平均0.173である.出題形式はすべて多肢選択形式をとっているが, 国試の現行4形式に従わたい出題が約30%にみられた.解答過程で分類すると, 想起レベルの問題が92%を占め, 解釈レベルと問題解決レベルの問題は8%弱であった.解釈レベルと問題解決レベルの出題を増やす努力が必要である.口述試験における主観的評価には, 教員間での採点基準の差異をいかに調整していくかが, 今後の課題である.学生評価法の妥当性は常に分析され反省されることが必要であり, このような分析を繰り返すことによって, 更に評価法の質を高めることが可能になる.