昭和医学会雑誌
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最大酸素摂取量と高温下長時間運動に伴う生理反応との関係
―一男女差について―
栃原 裕
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1984 年 44 巻 3 号 p. 323-329

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抄録
最大酸素摂取量と高温下長時間運動に伴う生理反応との関係を調べ, その関係の男女差を検討するため, 最大酸素摂取量 (Vo2max) の大きく異なる男子学生13名と女子学生12名を被検者とした.気温34.5℃, 相対湿度65%, 気流20cm/secの人工気候室内で, 20分間の倚坐安静の後, 70Wの自転車エルゴメータ運動を80分間行なわせた.運動後, 再び20分間の倚坐安静を取らせ回復をみた.実験中, 心拍数, 直腸温, 平均皮膚温, 酸素需要量及び発汗率を測定した.高温下における運動継続に伴い, 男女とも心拍数, 直腸温, 平均皮膚温, 酸素需要量の増大が認められたが, Vo2maxの男女差を考慮に入れると, 高温下長時間運動に伴う酸素需要量の増大は, 男子の方が著しい.このことは, 機械的効率の変動によっても裏付けられた.相対的運動強度 (% Vo2max) と心拍数との間には, 高温下運動各時点において男女とも高い正相関関係があり, しかもその回帰式の傾き, 高さとも男女差がない.高温下長時間運動時の循環器負担は, 各人の% Vo2maxで見る限り, 男女差は小さいことが明らかとなった.% Vo2maxと直腸温との間の相関係数は, 男子のみが運動終期に有意となり, しかも% Vo2maxと心拍数との相関係数よりも低値を示した.% Vo2maxと平均皮膚温及び発汗率との間の相関係数は, 男女とも低値を示し, 全て有意ではなかった.同じ% Vo2maxの運動を行なった後の心拍数は, 男子の方が高水準にあり, また女子の方が回復時の直腸温, 平均皮膚温低下度が大きい.高温高湿下においては, 女子のより小さな産熱量増加や, より大きな (体表面積/体重) 比は, 女子の長時間運動時及び回復時の生理反応に有利に働くと思われた.
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