昭和医学会雑誌
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糖尿病患者における振動覚の5年間の推移におよぼす因子について
永野 聖司白取 雄稲葉 昌久高山 公吉
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1985 年 45 巻 3 号 p. 415-419

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抄録
振動覚の低下は糖尿病性神経障害にみられる重要な理学的所見の一つである.我々は電気的に音叉を振動させ振動覚閾値を定量的に電圧で表示する振動覚計を作製し63人の健常人と139人の糖尿病患者について調査した.第二手指および第二足趾での振動覚閾値は健常人, 糖尿病患者とも加齢とともに上昇を示した.手指振動覚では糖尿病群が健常人に比較して閾値の上昇を示したがその差は少なかったのに対し足趾では健常人に比して有意な振動覚閾値の上昇を示した。さらに以上の糖尿病患者のうち59人について5年後再び振動覚閾値を調べ5年後の振動覚閾値と前の閾値の差を振動覚進行度として表現し種々の因子との関連性を検討した.足趾振動覚進行度は5年間の平均空腹時血糖値およびHbA1と正の相関関係を示した (各々r=0.307, p<0.05; r=0.468, p<0.01) .また指突容積脈波計による足趾波高と負の相関を示した (r=-0.464, p<0.05) .インスリン分泌能, 血清脂質, 網膜症の有無とは無関係であった.さらに末梢血管振張剤, ビタミン剤使用の有無による有意差も検定したが5年間という比較的長期間での振動覚悪化を阻止することはできないようであった.以上より血糖コントロールが糖尿病患者の振動覚低下の進展防止に基本的に重要であると考えられた.
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