昭和医学会雑誌
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奇異な胃内視鏡像を呈した左肝海綿状血管腫の一手術例
新井田 修安井 昭加藤 貴史村田 升五味 明村上 厚文中嶋 真松井 渉熊谷 一秀西田 佳昭鈴木 孝
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1985 年 45 巻 4 号 p. 585-589

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抄録

症例は44歳, 女性.他医にて2年前より指摘されていた胃腫瘤の精査, 手術目的で当科入院胃透視にて胃底部粘膜下腫瘍もしくは胃壁外性腫瘍が疑れたが, 内視鏡検査にて表面粘膜のびらん, 白苔の付着, 易出血性潰瘍形成など, 悪性腫瘍類似の所見を得, 胃肉腫も考えられた.開腹すると肝左葉に発生した海綿状血管腫を認め, 胃腫瘤はこの血管腫による圧排像と判明した.肝左葉を腫瘍を含めて部分切除し手術終了.術後の内視鏡検査では粘膜は全く正常で, 特に異常所見を認めなかった.悪性腫瘍類似の内視鏡像を呈した, 良性の胃壁外性腫瘍である肝海綿状血管腫の1例を経験したので, 若干の考察を加え報告する.

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