昭和医学会雑誌
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マクロファージ細胞株に対するSchizophyllanその他免疫賦活物質の食菌能活性化作用
大野 豊南雲 昇木村 賀津子小松 信彦
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1986 年 46 巻 3 号 p. 391-397

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抄録

Schizophyllan (SPG) は担子菌スエヒロタケが産生する単純グルカンで, 種々の生物学的活性を発揮することが知られている.SPGを注射した場合のマウス腹腔マクロファージに対する活性化作用については既に報告したが, 今回はin vitroにおけるSPG及び各種免疫賦活物質の食菌能活性化作用の有無について検討した.まず各被検物質をマクロファージ細胞株J774.1に加えて培養した.次いで標的細胞としてCandida parapsilosis浮游液を加えてさらに培養したのち, C.parapsilosisに対する増殖阻止活性を対照のそれと比較して増殖阻止指数 (Fungistatic Index: FI) で表わした.検討した13種類の免疫賦活物質のうちJ774.1株の食菌能をin vitroで明らかに活性化したのはSPG, LPS及びKrestin (PSK) であった.SPGの場合には, 比較的高濃度 (1~100μg/ml) では添加後1時間でマクロファージの活性が上昇し (FI: 7.5~9.0) , その後いったん低下したのち, 48時間から72時間にかけて再び上昇した (FI: 2.12~3.75) .この場合前者 (1時間値) のほうが後者 (48及び72時間値) よりも高かった.低濃度 (10-1~10-4μg/ml) では1時間値 (FI: 2.5~3.25) よりも24及び48時間値が高く (FI: 3.75~7.25) , 高濃度とは逆の2峰性パターンを示したのち, 72時間では低下傾向を示した.SPG以外の免疫賦活物質については, LPSの1時間培養において全濃度範囲 (10-5~100μg/ml) にわたって活性化が見られた.この活性化は10-5~1μg/mlの濃度では24時間培養まで持続したが, それより高濃度 (10~100μg/ml) では24時間後には低下していた.Krestinによる活性化は10~500μg/mlの高濃度においてのみ見られ, 特に添加直後 (0.5~1時間) が高いという特徴を示した.Lentinanは10-1~10-3μg/ml, 24時間培養で軽度の活性化を示した (FI: 2~4) .Corynebacterium parvum, BCG-CWS及びPicibanilの場合には一部の濃度において48時間培養で活性化が認められた.その他Lipid A, Muramyl dipeptide (MDP) , MDP-Lys (L18) , 放線菌Mannoglucan (DMG) , Zymosan及びLevamisoleの場合には, Candida増殖阻止活性の上昇が見られなかった.

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