昭和医学会雑誌
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経過中高カルシウム血症を合併した肝硬変症の1例
柴田 実赤木 信斎広瀬 信夫舩冨 等八田 善夫
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1986 年 46 巻 3 号 p. 427-431

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抄録

肝硬変に原発性副甲状腺機能亢進症, 尋常性白斑を合併した症例を経験したので報告した.患者は肝硬変の経過中に歯芽崩壊, 腰痛, 尋常性白斑が出現し, 高カルシウム血症を指摘された.血中パラソルモン, 尿中腎原性cAMPはいずれも高値を示し, 頸部CTスキャンでは左副甲状腺部にlowdensity areaを認めた.生化学的, 形態学的検査より肝癌その他の悪性腫瘍の合併は否定的であり, 原発性副甲状腺機能亢進症と診断した.原発性副甲状腺機能亢進症, 尋常性白斑の発症には, いずれも免疫学的機序が関与すると考えられ, 肝硬変の完成が生体に何らかの免疫異常を生じこれらの疾患の発症の一因となった可能性も考えられた.

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