昭和医学会雑誌
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騒音の循環器への影響
―末梢血管収縮反応について―
山崎 信也
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1986 年 46 巻 4 号 p. 479-485

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抄録
騒音の循環器への影響の1つとして, 音による末梢血管収縮反応を指標として取り上げた.この反応は指先脈波を用いて多くの研究者により行われており, 音に鋭敏な反応であることが確認されている.この反応はまた, 年令, 騒音のレベル, 周波数などにより一定の反応があることが知られている.70dB以上の騒音職場の労働者は循環器系への影響や各種神経症の増加が起るだろうことが指摘されている.しかし, 音による末稍血管縮反応が幹線道路沿道のような騒音レベルが70dBA近くの場所に住む人々が静かな所に住む人々と異ったふるまいを示すかどうかをみた研究は殆んどみない.本研究では昼間の騒音が61~76dBAの幹線道路沿道の女性住民86名, 同様に昼の騒音が45~55dBAの静かな住宅地の女性住民42名について65, 75, 85dBAの立ち上り, 立ち下り速度が10dB/sの台形音が約1分周期で6回出現する音をヘッドホンにより曝露し, 指先脈波を記録, 分析した.実験時間は1人約6分間で, 拘束による影響を少なくするようにした.実験中椅座安静を保たせた.結果は, 1) 反応は騒音レベルの上昇に伴い強くなった.2) ピンクノイズよりホワイトノイズに対しての反応の方が強かった.3) 騒音に対しても, ノイズの種類に対しても反応は道路沿道住民の方が住宅地住民より強い反応を示した.特に住宅地住民は低いレベルの65dBAではノイズの種類に対する反応が, 75, 85dBAに対する反応とは反対であった.この結果はこれまでの研究とほぼ一致するもので, 本実験中, 音による血管収管収縮反応は65~85dBAで顕著に出現し, 音に対して鋭敏な指標であることが確認された.本研究の目的の1つは幹線道路沿道住民が道路騒音によりどの程度影響を受けているかを調べる指標として末梢血管収縮反応が適当かどうかを検討するところにある.本実験の結果から幹線道路沿道住民の反応と静かな住宅地の住民の反応とを区別することができたことから, 道路騒音による影響を調べる指標として適当であろうことは推測できるが, 約6分間の間欠騒音曝露の検査方法は検討の余地があろう.しかし, 拘束条件としては, 安静椅座で, 着脱が簡便で負担が殆んどないトランスジューサーを指に着ける等から, 余り強い拘束ではないと考えられる.
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