昭和医学会雑誌
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腹部鈍的外傷を契機として発見された後腹膜嚢胞性リンパ管腫の一例
村上 厚文小泉 和雄小泉 蓉子
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1988 年 48 巻 2 号 p. 281-285

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抄録
リンパ管腫は単純性, 海綿状, および嚢胞性に分けられるが, このうち後腹膜に発生する嚢胞性リンパ管腫は臨床上稀な疾患であり, 特に乳ビを内容とするものはきわめて珍しいとされている.しかも10歳前後の男子に多く, 外科的療法を必要とする場合が少なくない.最近われわれは8歳の男子で腹部鈍的外傷の1週間後から腹痛を主訴に来院, 腹部所見から急性腹症として開腹したところ, 乳ビを内容とした十二指腸下降脚右方に存在する後腹膜嚢胞性リンパ管腫であった症例を経験した.今回は内痩術のみで嚢胞が消失し良好な経過を得たが診断および治療上まだ問題が残されている疾患の一つであり, 文献的考察を加えここに報告する.
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