昭和医学会雑誌
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著明な膵浸潤をきたした下部胆管癌の1例
―膵頭部領域癌の臨床的鑑別診断を含めて―
鈴木 博安井 昭西田 佳昭熊谷 一秀真田 裕増尾 光樹吉利 彰洋
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1990 年 50 巻 1 号 p. 105-110

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抄録
当科で切除された下部胆管癌の1例を検討し膵頭部領域癌の問題点を考察し報告する.症例は71歳男性.黄疸を主訴として来院.術前ERCP, PTC, 腹部血管造影, 超音波検査および胆汁細胞診 (class IV) などにより下部胆管癌の診断を受くも切除標本の割面では腫瘍は膵組織を圧排性に浸潤し膵癌か下部胆管癌の鑑別は困難であった.病理組織学的検索では, 癌の中心部は胆管側へ偏り胆管の内腔へ乳頭状発育を示し胆管壁の一部に上皮内癌も認められたことなどにより胆管原発と判断された.本症例は胆道癌取扱い規約によるとStage IVとされるが, 仮に膵癌取扱い規約に準ずるとStage IIとなり, 原発不明な膵頭部領域癌においては大きな問題を残すと思われた.
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