30歳以上の健康な成人100名 (男50, 女50) につき, 体幹5断面高 (Erdheim5, 6, 7, 8, 10) のCT写真を撮影, Rohrer指数によるA (129以下) , C (130~149) , D (150以上) の3体型別に, 各断面の総断面積および組成 (脂肪層, 骨筋層, 体腔) を写真に基づいて比較した.結果: 1.各断面の総断面積を体型別に見ると, 男女各断面ともD, C, A体型の順に大であった.断面別にはA, C体型では男性はE5, E6, E7, E10, E8の順に大であったが, 女性ではE10がE5に次ぎ, D体型でもほぼ同様の傾向が見られた.男性のD体型ではE5とE6とE7およびE8とE10とのそれぞれ相等しい2群に分かれた.2.年齢的には男性ではA, C体型における断面別順位は各年代とも同様で, D体型も含めて加齢減少の傾向が見られたが, C体型の腹部断面 (E8, E10) とD体型の全断面では70歳代で急増の傾向が見られた.女性では男性に比べて骨盤部を含むE10が大でE5に近くなり, E7とE8はA, C体型では等しくなる年代が多く, D体型では60歳代以降他よりも著しく小となる傾向が見られ, E10は60歳代から急減した.3.構成比を体型別に見ると, 男性では各体型ともE5, E6, E7では体腔比が最も大で骨筋層比がこれに次ぎ, E10では骨筋層比が最も大で体腔比がこれに次いでいた.E8ではA, C体型は骨筋層比が最も大であったが, D体型は骨筋層比と体腔比が相等しかった.これに対して女性ではE5, E6, E7は体腔比が, E10では骨筋層比が最大であり, E8では各組成とも30%前後から30%台で, かつ断面間の差は各体型とも僅少であった.すなわち, 女性では各断面とも男性に比べて脂肪層比が高く, 特にE8, E10において著明であった.4.各組成の年齢別体型別変化については, 脂肪層比は男女, 各断面, 各体型とも加齢減少の傾向を示したが, D体型の男性では各断面とも70歳代で増加の傾向が見られた.骨筋層比は男性では一般に40歳代あるいは50歳代で最も大, 70歳代で最も小となる傾向が一般的であったが, E7ではA, D体型で加齢減少の傾向が見られた.女性では各断面, 各体型とも変化が少なかった.体腔比は男性では各体型, 各断面とも60歳代あるいは70歳代で最高となり, 女性では腹腔の加齢的増大傾向が認められた.
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