昭和医学会雑誌
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虫垂粘液嚢腫の1例
小嶋 信博唐沢 洋一
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キーワード: 虫垂粘液嚢腫
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1990 年 50 巻 1 号 p. 95-99

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抄録
症例は60歳, 男性.腹部膨満感, 下腹部痛を主訴として来院.右下腹部に圧痛を伴う表面平滑, 可動性の腫瘤を触知.腹部超音波検査では同部に3.5×8.0cmの嚢腫像が認められた.注腸では盲腸に表面平滑な隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった.開腹すると, 虫垂は長径11cmに腫大し, うち5cmが盲腸内に陥入しており, 回盲部切除を行った.嚢腫の内容は淡黄色半透明のゼリー状で, 切除標本の病理組織的検索にて虫垂粘液嚢腫と診断された.本症発生には (1) 虫垂内腔の閉塞 (2) 虫垂粘膜の粘液産生 (3) 内腔が無菌的であることが必要とされる.治療は本症が腸重積, 拘扼性イレウス, 腹膜偽粘液腫の原因となるため, 発見後は早期に嚢腫全摘を行う.
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