昭和医学会雑誌
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長期に社会生活を維持している分裂病について
― (第一編) 病像と社会適応の関係―
井上 悟桜木 章司井口 喬田玉 逸男安部 康之出井 恒規大地 武
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1990 年 50 巻 2 号 p. 187-196

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抄録
昭和大学付属烏山病院へ通院中の精神分裂病患者のうち, 5年以上外来通院を維持している183例を対象とした.臨床病像により症状消褪型 (124例) ・症状顕在型 (59例) の二型に分け, 陽性症状と陰性症状の相関, 社会適応度と陽性症状・陰性症状の相関, および社会適応経過について社会生物学的, 症状学的視点から調査, 検討した.陽性症状と陰性症状の相関分析からは, われわれの定義した陽性・陰性症状間に相互依存的関係が内在する可能性も推定された.社会適応度と精神症状の間には, 何れの病像にも, 強い順相関が認められた.また症状消褪型で陰性症状との間に強い1頂相関を示すが, 症状顕在型では陽性, 陰性症状とも同程度の弱い順相関にあった.ここで症状顕在型は, 陽性症状も陰性症状と同等に長期転帰と密接であることが分かった.また社会適応経過では, 症状顕在型に属する陰性症状優位型で, 漸進性に改善する一群を多数認め, この病像と「第二の屈曲」的現象の親和性が指摘された.
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