昭和医学会雑誌
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カナル型補聴器と外耳道形態に関する臨床的研究
片山 雄二
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1990 年 50 巻 2 号 p. 197-204

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抄録
成人正常耳60耳を対象に, イヤシミュレータによる音圧を基準として外耳道内音圧と外耳道容積の測定を行った.全周波数において60耳の外耳道内音圧は, ほぼイヤシミュレータの基準値に近似した音圧が得られた.60耳の平均外耳道容積は1.34mlであり, 低い周波数帯域では外耳道容積の少ない耳は基準値より大きな音圧に, 容積の多い耳は小さな音圧に分布し負の相関傾向がみられた.また, 成人正常耳10耳, 外耳道形態異常耳 (鼓膜穿孔耳7耳, 中耳根本術後耳6耳) を対象にCCI-10を使用し, カナル型補聴器装用時の裸耳利得と挿入利得を測定した.裸耳利得では, 成人正常耳の周波数のピークは2828Hzで最大値16.9±3.7dBが得られ, 外耳道形態異常耳では, 周波数のピークは低い周波数帯城に移行した.挿入利得では, 中耳根本術後耳において1500~2000Hzで大きなdipを生じ成人正常耳と有意な差がみられた.中耳根本術後耳症例にカナル型補聴器を装用する場合には, 中音域の増幅を正常耳の場合よりも大きく補正する必要性があると推察された.
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