昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
長期に社会生活を維持している精神分裂病について 第二編社会生活状況から見た分裂病の治癒について
桜木 章司井上 悟井口 喬安部 康之出井 恒規大地 武平良 雅人
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 50 巻 3 号 p. 275-284

詳細
抄録
昭和大学付属烏山病院に通院中の精神分裂病患者のうち, 5年以上外来通院を維持している183例を対象とし, その病像と社会生活状況をあきらかにした.この第二編では, ことにその社会生活状況を分析し社会生活を維持している要因, ひいては分裂病治癒の可能性について検討した.第一編において輪郭のあきらかとなった症状消褪型では, 1) 結婚歴を有するものが多く, また現在も婚姻状態にあるものが多い.2) 就業者が多く, 稼働経過も良好.3) ある程度の社会的自立を果たし, 収入を他に依存することが少なく, 独立した居住形態を有している.4) 退院後も早期に良好な社会適応を示し, 完全社会復帰への中間段階ともいえるリハビリテーションを必要としないものも多くみられた, 等の点がわかった.こうした長期間恒常的に高い社会適応水準を示す一群は, 竹村の規定した分裂病における社会的治癒群と言ってもよく, またそのなかに自然治癒例を含んでいる可能性も強く示唆するものと考えられた.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top