抄録
生体内に存在し, superoxide (O2-) を介して放射線障害を防護するsuperoxide dismutase (SOD) の活性変化を, 局所放射線照射後のラット脳によって検討した.さらに, 外投与により放射線防護効果を示すSODの前投与が, 脳内のSOD活性に影響を与えるかどうかをも検討した.ラット頭部への10Gyγ線照射後, 脳内SOD活性は, 直後に, 対照群に比して28%の活性低下を示し (P<0.01) , 30分後には18%の低下 (P<0.05) を示した.その後, 60分後にほぼ100%に回復し, 120分後には再度, 18%の活性低下を示した (p<0.02) .さらに180分後では, 93%まで回復した.このような放射線照射後短時間内の二相性の活性低下にはSODの細胞外漏出, SOD内Cu2+の還元, および, それらによる活性低下に対応して起こるSOD合成系の賦活化などが関与すると考えられた.照射1日後より14日後までの長期的観察では, ラット脳内SOD活性に有意の変動は認められなかった.また, 照射前にSOD10mgを腹腔内投与したラットでは, 10Gyの頭部放射線照射後短期的にみられた脳内SOD活性の低下が認められなくなった.これは, 投与されたSODが, 脳内SOD活性の恒常性を保つ作用を持つ可能性を示すものと思われる.