昭和医学会雑誌
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反復性背側膵炎を合併したと考えられる膵管癒合不全症の一例
上原 喜夫坂本 仁渡辺 公博舩冨 等八田 善夫
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1992 年 52 巻 1 号 p. 104-108

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抄録

膵炎発作を反復した膵管癒合不全症の一例を報告した.症例は55歳, 女性.約3年前より血中膵酵素上昇をともなう腹痛発作を繰り返し, 精査加療のため入院となる.内視鏡的逆行性膵胆管造影 (以下ERCP) では膵頭部領域のみの描出であったが, 体外式超音波検査および腹部CT検査では体尾部の存在も観察され, 膵管癒合不全症と診断した.ERCPにて, 再三副乳頭からの造影を試みたが不成功であり, このことは逆に, 背側膵からの膵液流出障害の存在を示唆するものとも考えられ, 膵炎発作の一因と推定された.内視鏡的超音波検査 (以下EUS) では, 腹側膵は正常であったが, 背側膵はびまん性の高エコーを呈し, 背側膵のみの異常が認められた.以上より, 本症は反復性背側膵炎の一例と考えられ, EUSは腹側, 背側膵を別個に詳細に観察でき, 膵管癒合不全症の有用な一検査法と考えられた.

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