1993 年 53 巻 1 号 p. 103-106
症例は74歳男性.既往歴として50年前, 戦争中背部に爆弾の破片を受け, 以後X-Pにて, 腹腔内異物の診断を受けていたが, 無症状のため放置していた.今回, 心窩部痛を主訴とし, 当院内科受診, 胃内視鏡検査, 生検にて, 胃悪性リンパ腫と診断され, 手術目的で当科転科となった.手術は胃亜全摘, 胆摘術を施行, 爆弾の破片が胆石の核となっていることが判明した.異物を核とした胆石症の報告は稀であり, 自験例の如く, 爆弾の破片を核とした胆石症はさらに稀有と考えられ, 若干の文献的考察を加え報告する.