昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
超音波カラードプラ断層法による肝腫瘍血行動態の検討
上田 和光
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 53 巻 2 号 p. 130-137

詳細
抄録
超音波カラードプラ断層法にて肝腫瘍内血流分析を行い, 各種肝腫瘍の診断を試みた.対象は未治療の肝腫瘍89例で, 内訳は肝細胞癌 (以下HCC) 28例, 転移性肝癌39例, 胆管細胞癌2例, 肝血管腫20例である.超音波カラードプラ断層法にて肝腫瘍内血流をカラー表示し, 同部位でパルスドプラ法によりドプラシフトグラムを記録するとともに血流波形, 血流速度, Resistance Index (R.I.) を計測し分析を加えた.各肝腫瘍の血流検出率はHCC 71.4%, 転移性肝癌59.0%, 肝血管腫5%であった.最高血流速度 (Vmax) はHCC 0.36±0.27m/s, 転移性肝癌0.50±0.28m/sであり, R.I.はHCC 0.68±0.13, 転移性肝癌0.72±0.10であった.血流検出率はHCCが最も高かったが, Vmaxを比較すると腫瘍径5cm以上ではHCCに比し, 転移性肝癌の方が速かった.R.I.に関しては腫瘍径5cm未満ではHCCの方が低かった.本法による肝腫瘍内血行動態の比較検討は各種肝腫瘍の鑑別に有用と思われた.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top