昭和医学会雑誌
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アキレス腱不着部裂離骨折型踵骨骨折の3例
石川 岳瀧川 宗一郎栗山 節郎桜井 茂樹梅沢 香貴金 陽守藤巻 悦夫
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キーワード: 裂離骨折, アキレス腱, 踵骨
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1994 年 54 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

日本鋼管病院に於いて, 過去10年間で踵骨々折78例中3例にアキレス腱付着部裂離型踵骨々折を経験したので報告する.症例1.56歳, 女性.左踵部の強打にて受傷, 踵骨隆起に2.5cmの骨片を有し骨片の末梢が上前方へ中枢が後方への回転々位を認めた.スクリュー固定およびギプス固定を施行した.術後4週より可動域訓練を開始し, 術後8週より部分荷重歩行を開始し, 術後12週より全荷重歩行とした.骨癒合良好で跛行はない.症例2.60歳, 男性.踵部の強打にて受傷, 所謂beak状の骨折を認める.キルシュナー鋼線と軟鋼線による固定およびギプス固定を施行した.術後2週より可動域訓練を開始し, 術後8週より部分荷重歩行を開始し, 術後11週より全荷重歩行とした.現職に復帰している.症例3.45歳, 女性.既往歴にポリオによる尖足位拘縮がある.椅子より転倒し前足部より着地し足関節を背屈強制され受傷, アキレス腱と共に三角形の骨片の上方転位を認める.キルシュナー鋼線と軟鋼線による固定およびギプス固定を施行した.術後3週より足関節底屈20°にてヒール付きギプス固定とし, 全荷重歩行とした.術後8週より短下肢装具を用い, 術後4カ月で装具除去した.ADL上支障ない.文献的には様々の要因が報告されているがアキレス腱の牽引力を上げている例が多く, その他, 直達外力や骨の脆弱性が要因として上げられる.我々の症例では症例1と症例2に於いて直達外力が働き, 症例3において骨の脆弱性が関与し, すべての症例においてアキレス腱の牽引力が働いたと推察された.

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