抄録
近年開発された脳微小透析法を応用し, haloperidol投与後の脳内におけるタンパク非結合型薬物の動態の検討を試みた.ラット線条体内に脳微小透析用プローブを挿入固定し, プローブ内をリンゲル液で灌流して得られる透析液を30分間隔で回収し, 腹腔内投与後の透析回収液中haloperidol濃度を電気化学検出器付き高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した.In vitroでの脳微小透析用プローブのhaloperidolに対する相対的回収率は12~23%であった.Haloperidol (2および5mg/kg) の腹腔内投与後, 線条体透析回収液中haloperidol濃度は, 投与量相関的な増加がみられ, 投与後90分~120分に最高値を示し, 以後8時間まで緩徐に漸減した.一方, 同時に測定を行なった線条体回収液中dopamine濃度は, 2および5mg/kg投与群とも8時間後まで漸増し, 8時間後には投与前に比較しそれぞれ343.5%, 678.0%に増加した.以上の結果より, 脳微小透析法を抗精神病薬の脳内薬物濃度測定に応用することで, 脳内薬物動態の解析と脳内アミン神経系に対するin vivoでの薬理作用をあわせて検討できる可能性が示唆された.