昭和医学会雑誌
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54 巻, 6 号
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  • ―軟化症と関節症との比較―
    久保 実
    1994 年 54 巻 6 号 p. 307-317
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    若年層の膝蓋軟骨軟化症に関しては, 今までに多数の報告がなされているが, その軟骨変性と修復像を組織学的に検討した報告は極めて少ない.臨床的に膝蓋軟骨軟化症が変形性膝関節症にそのまま進展することは稀であり, 何らかの修復反応の存在を推察させる.この修復反応を検討するために, 膝蓋軟骨軟化症と変形性膝関節症の組織学的所見を比較検討し, その特徴につき考察した.症例は膝蓋軟骨軟化症は13歳から24歳 (平均19.8歳) , 女性20例23膝, 男性2例2膝, 計22例25膝, 変形性膝関節症は58歳から79歳 (平均65.4歳) , 女性15例16膝, 男性6例6膝, 計21例22膝である.膝蓋軟骨軟化症では, 変性が進行しても表層部を中心に, 線維性化生と考えられる旺盛な修復像が観察され, 膝蓋大腿関節に作用する既存の異常な機械的応力を改善することにより, 変性軟骨は修復される可能性があると考えられ, またその特徴ある修復像から変形性膝関節症へは進行しにくいと考えられた.一方, 変形性膝関節症では, 細線維化の初期像では軟骨構造が保たれているものも, 亀裂形成まで変性が陥ったものでは, 周辺軟骨基質の深部まで変性が認められ, また膝蓋軟骨軟化症で認められた様な修復反応はほとんど観察されず, その変性は進行性と考えられた.
  • ―寡発者の服薬期間―
    宇内 康郎, 村田 琢彦, 中野目 有一, 本田 常雄, 古川 正, 里和 宏, 河合 真, 伊東 昇太, 北村 勉, 釜谷 園子, 樋口 ...
    1994 年 54 巻 6 号 p. 318-334
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    1978年1月1日より, 1993年5月31日迄の約15年間に昭和大学藤が丘病院を受診した精神分裂病 (ICD-10) の外来患者で寡発者30名 (延べ99名) を選び, 1年から14年の経過を追跡しながら, 薬物の中断の可能性を探った.対象はICD-10の経過型でF20.X2, X4, X5 (1型と呼称) のもの22名, F20.X3 (2型と呼称) 8名で, 実際の治療過程で減量・中断の方法を検討した.即ち, 調整期間, 維持量期間, 減量期間, 中断期間の4段階に分けて薬が中断できるかを調査した.1.減量中に再発したものは36.4%, 減量中あるいは漸減後中断して再発したものは27.3%, 合計63.7%が再発した.薬の中断が再発に結びついたと考えられたものは47.4%であった.2.1型は維持量の約半分に減量した時に再発しやすく, その期間は約1年であった.3.2型は1型の半分に迄維持量を減量でき, その上1型の2倍の期間再発が起こらず, 1型と2型とは精神薬理学的にも同様の疾患とみるには疑問が生じた.4.中断に成功したものは1型で1名 (4.5%) , 2型で5名 (62.5%) で, 1型は初発・再発に関係なく薬を中断するのが困難で, 指示中断に至ったものは4人 (18%) に過ぎなかった.5.2型は88%が指示中断に至った.6.調査期間中における再発回数との関係では, 2型は再発回数が多いにも拘らず中断でき, やはり慎重に漸減, 中断を試みる価値があると考えられた.7.中断できない3例でも, チオリダジン1日25mgでは不眠, 困惑, 幻覚妄想状態が起こるのに, 50mgだと安定している症例など, 小量の薬用量の差で安定, 不安定になるものであった.8.従って分裂病 (1型, 2型共に) は, 必要最小限の薬用量で維持することが肝要である.9.薬を中断できたものの最後の服薬期間は1型で3年1週, 2型は平均1年4カ月であった.10.血清コルチゾール値が2型で低値であったが, 生物学的指標によって, 再発や薬物中断の是非を予測する方法は今後に課せられた課題と考えられる.
  • 由良 明彦, 工藤 芳子, 仲地 紀之, 山崎 由香子, 稲垣 昌博, 木内 祐二, 小口 勝司
    1994 年 54 巻 6 号 p. 335-341
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年開発された脳微小透析法を応用し, haloperidol投与後の脳内におけるタンパク非結合型薬物の動態の検討を試みた.ラット線条体内に脳微小透析用プローブを挿入固定し, プローブ内をリンゲル液で灌流して得られる透析液を30分間隔で回収し, 腹腔内投与後の透析回収液中haloperidol濃度を電気化学検出器付き高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した.In vitroでの脳微小透析用プローブのhaloperidolに対する相対的回収率は12~23%であった.Haloperidol (2および5mg/kg) の腹腔内投与後, 線条体透析回収液中haloperidol濃度は, 投与量相関的な増加がみられ, 投与後90分~120分に最高値を示し, 以後8時間まで緩徐に漸減した.一方, 同時に測定を行なった線条体回収液中dopamine濃度は, 2および5mg/kg投与群とも8時間後まで漸増し, 8時間後には投与前に比較しそれぞれ343.5%, 678.0%に増加した.以上の結果より, 脳微小透析法を抗精神病薬の脳内薬物濃度測定に応用することで, 脳内薬物動態の解析と脳内アミン神経系に対するin vivoでの薬理作用をあわせて検討できる可能性が示唆された.
  • 岡 壽士, 中村 豊英, 笹屋 昌示, 長崎 秀彰, 八木 秀文, 楠本 盛一, 金城 善哉, 金 潤吉, 仲吉 昭夫, 熊田 馨
    1994 年 54 巻 6 号 p. 342-346
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本論文では経仙骨的アプローチによる下部直腸癌に対する局所切除の手術手技を紹介する.一般的に, 下部直腸の比較的小さな病変は, ポリペクトミー等の内視鏡的手段により, 切除される.切除された標本の組織学的な検索で, sm癌と診断された場合, その後の治療には幾つかの選択肢があり, 症例に応じて治療法が決定される.断端あるいはその近傍にいたるmassive invasion, 脈管侵襲陽性, 低分化腺癌といった所見が無ければリンパ節郭清必要とせず, 病変部の局所切除で治療が完了する.局所切除を行うための病変部へのアプローチには経肛門的切除, 経括約筋的切除, 経仙骨的切除などの方法がある.従来では経肛門的切除, 経括約筋的切除を行うべき病変に対しても, われわれは経仙骨的局所切除術を採用している.これは良好な視野を得られることの他に, 術中のD1のリンパ節郭清を付加しなければならない時, 術式の変更が容易であることといった理由にもとずく.またわれわれは腫瘍の局在を正確に同定する方法として, 手術にあたって病変の局在を正確に同定するために, 術前, 内視鏡を使って病変部を囲んで点墨およびクリップを打ち込んでおく方法を工夫した.
  • 篠崎 敏明, 猪口 清一郎
    1994 年 54 巻 6 号 p. 347-350
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    61歳の男性で, 左側腎癌に腸骨, 腰椎, 胸椎並びに胸骨の転移を伴い, 入院後約100日で不幸な転帰をとった症例の報告である.検査所見から定型的な腎癌で, 大循環系の血行性経路によって骨系統への転移を来したと考えられたが, 胸骨転移部は皮下および縦隔内に嚢状に膨出した血管性腫瘤となり, 恰も上行大動脈に直結した動脈瘤の観を呈していた.
  • 臼井 一郎, 小貫 誠, 太田 秀樹, 西田 均, 宮本 二一, 三田村 圭二, 国村 利明, 諸星 利男
    1994 年 54 巻 6 号 p. 351-357
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変 (以下, PBC) に肝細胞癌を合併し, C型肝炎ウイルス (HCV) 抗体, HCV-RNAが陰性であった例を報告する.症例は53歳の男性.1983年, 45歳の時に肝障害を指摘された.血清アルカリフォスファターゼ値の高値, 抗ミトコンドリア抗体 (AMA) 強陽性, 肝生検組織所見からPBC (Scheuer 4期) と診断された.以後, 食道静脈瘤の破裂を繰り返し計3回入院し, 8回の内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) が施行された.PBCと診断後, 8年目に血清AFP値の上昇を認め, 腹部CTおよび超音波検査にて肝S6に径3cm大の腫瘍性病変を認め, 各種検査から肝細胞癌 (HCC) と診断した.HCCは増大を示し, 肝動脈塞栓術 (TAE) による治療を行った.PBCにHCCの合併は稀であるとされており, 又, その発生に関してさまざまな原因が考えられてきた.HCV感染の同定が可能となって以来, その発生に関して, 従来考えられていた原因の他にHCV感染の関与も推定されている.本症例はHCV抗体さらにHCV-RNAも陰性であり, PBCにおけるHCCの発生につき, HCV感染との関連も含め考察した.
  • 長谷川 政美
    1994 年 54 巻 6 号 p. 360-364
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 玉木 敬二
    1994 年 54 巻 6 号 p. 364-370
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 三谷 絹子
    1994 年 54 巻 6 号 p. 370-373
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 谷山 松雄
    1994 年 54 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 54 巻 6 号 p. 377-379
    発行日: 1994/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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