抄録
若年マウスの肝で認められたジピリダモール (ペルサンチン) の防護効果を加齢マウスにおいても検討した.2カ月齢から16カ月までの加齢マウスを用い, 8Gy X線全身照射後の肝, 脾, 脳の過酸化脂質及びその主成分である不飽和脂肪酸の変動とそれにおよぼすジピリダモールの影響を検討した.マウスの肝, 脾, 脳内の過酸化脂質は加齢に伴い上昇傾向を示した.この上昇した過酸化脂質は8Gy X線全身照射7日後の肝, 脾では有意に上昇したが, 脳では全く変動がみられなかった.各月齢における加齢マウス全身照射後の肝, 脾の過酸化脂質の増加はジピリダモール照射前の腹腔内投与により有意に抑制された.以上のことから加齢マウスにおいてもジピリダモールの放射線防護効果が示され, その重要な要因としてはジピリダモールの抗過酸化作用であることが示唆された.