昭和医学会雑誌
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虚血または圧迫症状で発症した特発性頭蓋内解離性椎骨動脈瘤の手術例の検討
―術後の長期経過観察の結果より―
阿部 琢巳岩田 隆信嶋津 基彦阿部 正泉山 仁松本 清
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1995 年 55 巻 2 号 p. 162-170

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抄録
クモ膜下出血を来さず, 虚血または圧迫症状で発症した特発性頭蓋内解離性椎骨動脈瘤 (以下VADA) の3症例に対する慢性期の手術治療を経験した.経時的に繰り返し施行した脳血管撮影およびMRIにて, 全例, VADAに改善傾向がなく, 病変側椎骨動脈 (VA) のバルーン閉塞試験にて神経学的異常所見が出現しなかったため, 約5カ月後の慢性期に患側VAのproximal clippingを施行した.術後は抗凝固療法を継続した.症例1は65歳, 男性.小脳梗塞で発症した右VADA.症例2は46歳, 女性.延髄外側症候群で発症した右VADA.症例3は57歳, 男性.小脳症状で発症した左巨大VADA.症例2で術後早期に小脳梗塞を併発したが, 長期予後は全例良好であった.文献例も考慮するとこのような例では, 基本的には保存的治療が優先されるべきであり, もし, 手術治療を考慮するのであれば, 症状悪化例が急性期に多いことより急性期に施行すべきである.しかし, 本症例のように慢性期に手術治療を施行し良好な結果が得られる例もあるので, 治療法に関しては, 症例ごとに充分に検討し決定すべきである.また, 術後のthromboembolic ischemiaに対しては抗凝固療法が有効であった.
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