抄録
腰部脊柱管狭窄症, 腰椎椎間板ヘルニアに対して, 選択的神経根ブロックを施行し, その治療成績を日整会腰痛疾患治療成績判定基準 (以下JOA-S) を用いて検討し, 報告した.全35症例にて神経根ブロックの効果をみると, 自覚症状, 日常生活動作の改善に効果がみられた.効果のみられた30例は疾患別, 病態別, 年齢別についても検討した.疾患では腰部脊柱管狭窄症, 病態では神経根性の疼痛に対して効果が高かった.年齢では明らかな差は見られなかった.35症例のうち5例は, 入院時と手術前日の比較で神経根ブロックの効果が得られず観血的治療となった.高齢者では合併症のため手術が行えずに保存的治療を余儀なくされる場合も存在するため, 神経根ブロックの価値は高いと考えた.また神経根ブロック無効例は, 観血的治療の適応になりえると考えた.