昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
先天性Aganglionosis Ratにおけるc-fosを用いた知覚機能の検討
渡井 有岡松 孝男福岡 大太郎尾崎 毅河谷 正仁
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 55 巻 4 号 p. 314-318

詳細
抄録
Aganglionosis腸管の組織学的特徴は, 壁内神経叢の欠如であるが, 同時に直腸の筋層内に肥大・増生した交感・副交感神経線維束が出現することが, 古くから指摘されている.本研究においては, ヒトHirschsprung病の実験モデルである先天性aganglionosis rat (n=10) とcontrol群として同腹の健常rat (n=10) を対象に, aganglionic segmentの知覚機能を検索するために, 直腸内に挿入したバルーンにより拡張, 刺激を与えることで, 脊髄内に出現する癌遺伝子のc-fosの分布, 発現数を計測し, 検討した.結果は, 一切片一片側当たりの出現数がaganglionosis ratでは22.5±15.9個 (mean±SD) , control群では57.6±34.0個と有意差を認めた (t-検定: 95%: p<0.001) .すなわち, Hirschsprung病で増生している神経線維の知覚機能は, 低下している可能性が示唆された.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top