昭和医学会雑誌
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手指における爪, 指末節部, 指末節骨の計測による形態学的研究
吉田 太
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1996 年 56 巻 2 号 p. 175-182

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抄録
臨床において爪を再建するにあたって, 指末節部分あるいは末節骨の大きさに対し, どれだけの大きさの爪が形態的に適当であるかということは重要である.本研究では日本人32名 (男性23名, 女性9名, 年齢14~72歳, 平均40.0歳, 全員右利き) を対象に, 左右各指において爪の露出部分 (eponychium遠位端からhyponychium遠位端まで) , 指末節部 (遠位掌側指皮線から指尖端まで) , X線上での指末節骨の3者につき, 各々の長径と横径を測定比較することによって, 形態学的にどのような関係があるかを検討した.その結果, 爪に関しては母指が長さ, 幅ともに (特に幅において) 発達し, また, 右利きが多いため, 大体において右側の方が発達しているものと推察される.また末節骨の形態から, 成人では骨の発達に左右差はなく, 骨以外の組織が右側で発達していったと考えられる.また, 左右各指について爪と指末節部, 爪と指末節骨の間の長径, 横径における比率を算出し, 一般的な基準を作成した.爪の再建を要する時は, この基準をもとに検討するのが望ましいと考える.形態学的には, 母指では骨や軟部組織に対し爪が小さい傾向にあり, 全体としてがっしりとした印象を受け, 右手の示指, 中指では爪をよく使用して引っ掻くという動作上, 爪の長さにおいて母指よりも発達していると考えられる.
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