抄録
症例は31歳の女性.分娩後1カ月頃より視力障害, 眼球結膜浮腫が出現し精査目的にて入院した.身体所見及び血清学的検査から全身性エリテマトーデスと診断された.入院当初から発熱が見られたが, その後強直性痙攣の出現から, 意識レベルは急速に低下した.中枢神経ループスによる症状と判断しステロイドのパルス療法を開始した結果, 意識障害は改善し, 同時に眼球結膜浮腫, 視力障害も消失し, 患者は独歩退院した.頭部Magnetic Resonance Imaging (MRI) では, 脳幹および大脳白質にT2強調画像にて多数の高吸収域を認めたが, 退院2年後に再検したところ, この特徴的な所見は完全消失していた.本症例は, 眼球結膜浮腫を付随症状に発病した極めてまれな中枢神経ループスの一例であり, その特異的な頭部MRI画像の変化についても合わせて報告した.