抄録
めまい患者の背景因子と体位変換試験で起こる心・血管反応の関係を検討した.対象は, 不整脈や弁膜疾患などの循環器疾患がないめまい患者629例とした.背景因子は (1) 性別, (2) 年代, (3) めまいの診断, (4) 検査時めまいの有無, (5) 薬物服用の有無, (6) Comell Medical Index (CMI) 阿部の分類について調査した.体位変換試験はSchellong testに準じて行い, 起立直前1分間の平均値と立位後3~4分の平均値で検討した.測定機器は非観血的連続血圧計フィナプレスを2台用いて行い, 測定部位は左右の中指とした.その結果, 臥位心拍数は薬の服用に関係なく眩量あり群が眩量なし群より高く, “めまいの有無”の影響が最も大きかった.体位変換試験で起こる心拍数の変化は, 若いほど増加の程度が大きく高齢者ほど小さくなり加齢現象が認められた.しかし, この現象は健康成人との差がなく, めまいの有無とも関係がなかった.心拍の増加は診断分類や他の因子の影響も小さかった.めまい患者の血圧回復パターンは健康成人と比較して左右差を認める例が多かった.RR間隔スペクトル解析の結果, めまい患者は健康成人に比べて低周波領域成分 (LF) , 高周波領域成分 (HF) がともに低い値だったが, 検査時にめまいがあった者は体位変換試験で更に低下した.Baroreflex sensitivityは健康成人とめまい患者の差, めまいの有無による差, 更に, 左右差もなかった.しかし, 血圧の左右差が認められた.以上のことから, めまい患者の基礎的あるいは動的な自律神経機能は, “めまい”や“加齢”の影響を受けてその状態が異なっていると考えられる.また, Baroreflex sensitivityはどの背景因子との関係もなかったが, 血圧の左右差や反応性の低下が認められたことから, 循環調節系の異常や反応性の低下がめまいの誘因, またはめまい患者の背景因子と関係していると考えられる.