昭和医学会雑誌
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ハイドロキシアパタイトonlay graftによる骨動態の変化についての実験的研究
―部位および気孔率の違いによる検討―
山田 雅道土佐 泰祥佐藤 兼重斉藤 康太郎保阪 善昭
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1999 年 59 巻 3 号 p. 309-317

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抄録
近年, 形成外科領域において, 頭蓋顎顔面骨の変形や欠損に対し, ハイドロキシアパタイト (HAP) は自家骨移植に代わるbone substituteとして利用されている.HAPによるonlay graftはドナーの犠牲がないという利点がある反面, 程度の差はあるがsinking現象が起こることが知られている.今回われわれは, このsinking現象がonlay graftの部位, 気孔率の差によりどのように影響をおよぼすかについて検討した.実験は, 4~6週齢の雄のNew Zealand White (NZW) rabbitを用いて0, 30, 50, 70%の気孔率を有するHAPブロックを, 前頭骨, 頬骨, 下顎骨の3ヵ所で骨膜下に挿入した.同部位の骨膜を切開し, そのまま縫合した3羽のNZWrabbitをsham群とし, これら3羽を含めた27羽を移植後8週目に屠殺した.Villanueva bone染色を用いた組織学的検索において, HAPと母床骨の接触面で骨芽細胞と破骨細胞が混在する自家骨の置換および移動現象が観察された.また, sinking現象の度合いに関しては, 部位別では下顎骨>頬骨>前頭骨の順で, 気孔率別では70>50>30>0%の順でより強く認められ, sham群とは明らかに異なった状態を示した.以上より, HAPの臨床応用に際し, インプラントの強度およびgraftする部位を考慮した上での気孔率の選択は重要な要因の一つであるという実験結果を得た.
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