昭和医学会雑誌
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石灰化を伴った真性脾嚢胞の一例
山口 真彦葛目 正央松本 匡史松宮 彰彦吉澤 康男真田 裕熊田 馨楯 玄秀
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2000 年 60 巻 4 号 p. 544-548

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抄録

石灰化を伴った脾類上皮嚢胞の一例を経験した.症例は35歳, 女性で健康診断にて脾嚢胞を指摘され, 脾臓摘出術を行った.脾嚢胞は長径7.5cmの単胞性で, 嚢胞液中のCA19-9, LDH, 総コレステロール値が高く, 嚢胞壁の大部分は硝子変性, 石灰化を伴った線維性結合組織からなり, コレステロールを貪食した泡沫化マクロファージの集積と炎症細胞浸潤を認め, 動脈硬化性病変に類似した慢性炎症像を呈していた.嚢胞壁のごく一部に上皮細胞を認め, 真性嚢胞と診断した.嚢胞液中のコレステロール値が高い真性脾嚢胞ではそれを貪食したマクロファージの集積と炎症細胞浸潤により, 上皮細胞の変性, 壊死を招いて徐々に石灰化が進行することが示唆された.

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