昭和医学会雑誌
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若年者における腰椎分離症の保存療法の検討
松本 忠重
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2000 年 60 巻 4 号 p. 540-543

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抄録

最近我々は若年者の腰椎分離症を2例経験したので若干の文献的検索を加え報告する.若年者でありスポーツおよび生活様式を考え, ファミリーとのインフォームド・コンセントのもと保存療法を選択した.症例1: 14歳男性.主訴: 腰痛.経過; 平成11年7月2日スケート中転倒し腰痛発症.但し以前よりの持続性の慢性腰痛はときに訴えていた.7月3日当院初診となる.所見; 神経学的所見 (-) 下部腰椎に圧痛を認めるのみ.検査; レントゲン上, L5分離症.辷り症 (-) .MRI (軽度椎間板の変性のみ) .骨シンチグラム取込み (-) .治療; 対症療法のみとし, 症状再発なら手術療法と考えインフォームド・コンセントを行った.症例2: 16歳男性.主訴; 腰痛, 神経学的欠損症状 (-) .既往歴; スポーッは剣道, 慢性腰痛 (-) .経過; 平成11年3月頃疼痛出現, 近医受診後, 鍼治療を行うも効果 (-) .所見: 腰痛および左の座骨神経痛.検査; X-P上第4第5腰椎に両側性の分離 (+) .第4では亀裂型, 第5では偽関節型.第4第5腰椎に取り込みがあり保存療法の適応と考え, 体幹ギプス固定後, 硬性体幹装具に変更.症状を伴った若年者腰椎分離症の治療については, 諸家の報告がある.治療法に於いて共通することは, 治療難渋例にのみ手術適応がある.保存療法の骨癒合率は, 約50%程度であるとの報告もある.成績不良例の多くは偽関節型も保存療法で治療しており, 骨の改変の期待できないと考えられる症例にも行っている.保存療法の適応を骨シンチグラフイーを行う事により, 正確に行った.

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